アクロポリスーパルテノン神殿

2014年1月4日
アクロポリスの遺跡を目にして記憶に戻った言葉は「エンタシス」「法隆寺」「ヘレニズム」「シルクロード」「大英博物館」。

ホテルの屋上からのアクロポリスの丘



エレクティオン

中学校の修学旅行は奈良方面。法隆寺の見学も含まれていた。美術の先生=確か北澤先生=美術の授業で法隆寺のことを話してくれた。古いギリシャ建築の手法=エンタシス=はパルテノンの神殿に使われており、アレクサンダー大王のヘレニズム文化に継承され、何百年の時代をかけ、シルクロードを通って日本に伝えられ、法隆寺の建物に使われた。以上の趣旨だった。ギリシャと日本に同じ文化があることが不思議でならなかったし、シルクロードはどんな道路だったのか大いに疑問を持ったものだった。奈良までの道は果てしなく遠いものだった。中学校は平穏(ヒラオ)中学校。現在の長野県下高井郡山ノ内町にあった。長野電鉄湯田中を朝6時頃出発。8時頃長野駅で中央線に乗り換え午後4時頃名古屋へ。電気機関車ディーゼル列車はなく、蒸気機関車の各駅停車。ススで真っ黒になりながらの汽車の旅だった。午後5時頃、名古屋から近鉄急行で中川、西大寺乗換え夜9時頃奈良に到着した。法隆寺へは奈良から大和郡山まで汽車で行き、その後は徒歩で法隆寺に向かった。エンタシスの柱を見て感激したことが記憶に残る。周辺の中学校の修学旅行は東京方面だが、我が平穏中学校だけは奈良方面だった。美術の北澤先生が強行に奈良への修学旅行を主張したと聞いた。筆者の歴史に対する興味は奈良への就学旅行が大きな要因となっている。



パルテノン神殿は建設当時、全体が彫刻やレリーフに飾られていたといわれる。神殿の全長160mの内3分の2が残っており、その60%が大英博物館にエルギン・マーブルとして保存されている。1800年イスタンブールに赴任したエルギン卿はこよなくギリシャ美術を愛したが、調査、研究の名目の下多くの略奪行為を働き、パルテノンの神殿の彫刻をイギリスに持ち帰った。世論の非難が高まる中、また輸送などで多額の借金を抱えたエルギン卿は彫刻群イギリス政府に寄贈、それが現在大英博物館に展示されている。1970年になるとギリシャ政府は(オスマントルコから独立)イギリス政府にエルギン・マーブルの返還要求を強めているが、両国の主張はいまだすれ違いのままだ。映画「日曜は駄目よ」の主演女優メルナ・メルキューリは文化化学相としてギリシャ政府の返還交渉の先頭に立った。